まず、成年後見制度って聞いたことありますか?
介護福祉に携わる方々以外では、聞いたことがない人の方が多いと思います。
成年後見制度が始まって20年以上、僕自身、後見人の仕事に関わって10年以上経っています。
「後見人の報酬っていくらかかるんですか?」いまだによく頂く質問です。
後見人の報酬のことはいまだに質問をいただきます。
それだけわかりにくいということですよね。
今回は後見人の報酬について解説します。あくまで報酬が発生する第三者後見人についてです(親族後見人は報酬が発生しないことが原則です)。
目次
誰が決める?
後見人の報酬は、家庭裁判所が決めます。
よく後見人が決めてしまうという誤解がありますが、法律に基づいて決定されます。
どうやって決める?
1年目は大変?!
家庭裁判所から後見人に選ばれると、後見人としての仕事が始まります。
最初の1年は、信頼関係を作ったり、財産状況を調べたり、官公庁関係の書類の送付先を変更したり、とにかく色々なことをします。
ほとんどの場合、1年目が一番大変です。
これには、理由があります。
僕たち社会福祉士のような専門職が成年後見人を受任しなければならないということは、親族ではまかないきれない問題があるか、もしくは、親族が関わりを拒否しているかのいずれかです。
それがどういうことだと思いますか?
普通に考えてみてください。家族以外の通帳や大事なものの管理している場所を把握できると思いますか?
そもそも家族のものでも同居していないと余程のコトがない限り通帳のありかなんて知らないことの方が普通です。
そんななか認知症や精神障害などによっていきなり成年後見人となった専門職がまずやらないといけないことは、財産調査です。そうでないと生活の予算をたてることもできません。ということは、施設入所が必要でも予算を把握できなければ、どこの施設が適切かも判断できません。
これだけでも大変さが分かって頂けるのではないでしょうか。
それで最初の1年が過ぎたら必ず定期報告をしなければなりません。
定期報告
報告内容は、1年間どんなことをしたかの報告、通帳コピーを提出して財産状況の報告がメインです。ただ、大変な1年目は、2年目以降よりも仕事量が多いことは、当然報酬に加味されるので、しっかりと報告します。
また、特別に遺産分割協議があったり、裁判があったり、ご本人が体調を崩して生活の本拠を調整しないといけないとか、特別に生じた仕事についても加味されます。
家庭裁判所が報告された後見人の仕事を評価して、本人の資産を基準にして1年間の報酬を決定します。逆に言えば本人の資産がなければ家庭裁判所に報酬決定を申し立てても報酬なしの決定がなされます。報酬が出る場合は、例えば「1年間で36万円」のように報酬決定がなされます。
仮に、資産がなかったり、生活保護受給者だったりした場合は、市町村から報酬助成金が出ることもあります。
報酬助成金が出るかどうかは、市町村によって要綱があり、要件も異なります。報酬助成金を見越す場合には、必ず対象となるかどうかの確認を怠ると大変なことになります(みなまで言わなくてもわかりますよね。)。