金融機関に認知症を疑われたら絶対後見人が必要?(後見制度のよくわからないこと#3)

成年後見制度の趣旨

「成年後見制度とは,

精神上の障害により判断能力が欠ける,あるいは不十分な方に援助者を選任し,

契約の締結等を代わって行ったり,

本人が誤った判断に基づいてした行為を取り消して

本人を保護する制度です。」(裁判所ホームページ)

上記のように、本人が自身で判断する力が弱くなっているために権利・利益が侵害される危険性が高まることから、法的に保護する制度です。

これを「権利擁護」といいます。

判断能力

成年後見制度は、判断能力が低下してきた人の権利擁護をする制度です。

「判断能力が低下」しているかどうかは、専門職の本人情報シートによる見立てと医師による診断書(場合によっては鑑定)によってのみ判断されます。

認知症かどうかは、認知症の周辺症状など外部的な部分と、脳の萎縮など内部的な部分との総合的な判断によるものです。

この点で、金融機関の判断というのは、外部的な部分のみであり、かつ、専門的判断ではないです。

したがって、金融機関の判断は、専門的な判断ではなく、断片的であるので、それをもって認知症と判断するべきではありません。

成年後見制度の“副反応”

成年後見制度は、本人の権利・利益を守る一方で、反射的に権利を制限します。

具体的には、スマホを勝手に契約してきたら、後見人によって取り消されることもありますし、通帳やキャッシュカードは全て後見人管理となるので、自分で自由にお金を使うことができません。

細かいことをいえば、成年後見制度の類型によって権利を抑制する範囲も異なります。ただ、このようなことが未だに制度理解として浸透していないと実感しています。

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